西野皓三│呼吸が下手①

歳を取ると、呼吸はだんだん下手になる①
現代日本では、パクパクと口で浅い呼吸をしている人が、だんだん増えているようです。鼻で呼吸をしている人が少ないと言うと、「いや、私はちゃんと鼻で呼吸しています」と反論する人もいるかも4しれません。
困ったことに、多くの人は「自分は鼻で呼吸をしている」と思っているのです。しかし、それは自分は鼻呼吸をしているつもりなだけで、実際には口で呼吸をしているのに気がついていないのです。呼吸にかぎらず、癖や習慣というのは自分ではなかなか気がつかないものです。
「現代人は、すべて口呼吸をしている」と言っているわけではありません。多少は鼻から吸っているでしょう。しかし、口から吸う割合のほうが、ずっと多いし、その鼻呼吸もきちんとできている人はほとんどいないのです。
人間にとって、呼吸というのは、まったく無意識な運動ではありません。慢性呼吸不全や過呼吸症候群といった病気が起きるのは、呼吸が意識との繋がりにおいて営まれているということを示しています。
どんなスポーツも、きちんとトレーニングをしないとできないように、鼻呼吸もふだんから心掛けてやっていないと、正しく行なえないのです。
「私は鼻で呼吸をしている」と、多くの人は言いますが、それはいわば、素人が「私は野球のバットがちゃんと振れます」と言っているのと同じようなことなのです。
その人は、バットを振り回すことはできるかもしれません。しかし、野球を本格的にやった人から見て、正しいスイングができているか、といえば、そうではないはずです。最初から、素晴らしいスイングでバットを振れる人など100万人に一人もいないでしょう。

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