西野皓三│生命力の源=腸①

決断力は腸から生まれる
「腸管内臓系」こそが脳・神経系の働きを支える
頭脳の弱点を回避し、同時に脳そのものの力を向上させることは可能でしょうか。
その“鍵”を探すには、生命の進化過程を眺めてみる必要があります。
その鍵は、身体知の根幹ともいうべき「腸管内臓系」にあるのです。
三木成夫という傑出した形態学者(生物学者)は“腸管”を以下のように説明しています(故・三木成夫教授は、西野塾に通われている順天堂大学医学部酒井シヅ教授の東京大学医学部・小川鼎三解剖学教室での先輩にあたります。また、三木夫人である三木桃子さんは熱心な西野塾の塾生です)。
人間の腸管は、頭部顔面の口から入り、頸部・胸部をへて腹部にいたり、ここで不思議なとぐろを巻いたのち腰部末端の肛門から出る。その途中、管は一つの原型typusを崩すことなく、しかし、経過とともに、ある時は緩やかに、ある時は速やかに、刻一刻と変容Metamorphoseをとげ、その場で、構造の形態を変幻自在に変えてゆく。(中略)
肺も盲腸も、それどころか副鼻腔も肝臓も、それらは互いに無縁のものではなく、ちょうど口と肛門のように、腸管変容の個々の局面として捉えられることになる。(『生命形態の自然誌』三木成夫)
発生学的に見れば、動物の身体において、まず生きるための大本の器官として、腸管が形成されました。そして、その一本の腸管をさまざまに変化(変容)させることによって、口、鼻つまり顔から肺、食道、胃、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、膀胱などの重要な内臓が作られたというのです。また、動物の身体を縦横に走る血管系も、腸管系と密接な関係を持つ間葉組織から生まれているのです。

2024年4月
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