西野皓三│生命力の源=腸②

「腸管内臓系」こそが脳・神経系の働きを支える②
三木教授は、植物と動物を比較して、生物としての関係をこう端的述べています。
動物のからだから腸管を一本引っこ抜いて、これをちょうど袖まくりするように、裏側に引っくり返し、ついで露出した腸の鼓膜に開口する無数のくぼみを一つ残らず外に引っ張り出し、そうしてできた形が、すなわり植物である。ここで引っ張り出された鼓膜のくぼみが、葉っぱと根っこになることは申すまでもない。
「腸管内臓系こそが、動物にとって生きるための根源的かつ象徴的な器官」ということなのです。
栄養、生殖との共通性から「植物器官」とも呼ばれますが、動物にはもう一つ、この“”
内臓系を助け、重要な感覚・運動を司る“外壁系”という器官系があります。“内臓系”が「植物器官」と呼ばれるのに対して、この“外壁系”は「動物器官」と呼ばれます。
およそ40億年という悠久の生命史の中で、生命は単細胞のアメーバから始まって、ホモサピエンスたるヒトまで進化してきたわけですが、その過程で生命はさまざまな難関に遭遇してきました。そして、その困難を乗り越えるために、さまざまに身体を発達させてきたわけです。
動物は植物のように、いながらにして食うことができません。そこで、いわば窮余の策として身につけたのが、動くための「動物器官」(筋肉や神経)だったのです。
しかし、その「動物器官」は無から生まれたわけではないのです。“外壁系”の中枢である脳と神経系は、腸から生まれました。つまり、腸管内臓系こそが人間の生命を支えると同時に脳・神経系の働きを支えているのです。