西野皓三│好き・嫌いは臓器!

臓器が「好き・嫌い」を決める
われわれの判断力の源泉となる腸管内臓系から発した「快・不快」の情動は、「扁桃核」という脳の器官に大いに関係があるのです。
扁桃核に関しては、まだまだ研究が端緒についたばかりで、分かっていないことも多いようです(以下は脳生理学会の草分けである大木幸介先生の『心がここまでわかってきた』光文社)を参考にさせていただきました。
扁桃核は、当初、「攻撃性の脳」ではないかと言われていました。扁桃核を破壊された動物が怒りや恐怖心を失うからです。
ところが、動物が好きなもの、嫌いなものを見た時、扁桃核から電気が発生することから、扁桃核は「好き・嫌いを決める脳」だということが分かってきたのです。
既に述べたとおり、この「好き・嫌い」は、喜怒哀楽を決定する情動の大本です。
「好き・嫌い」を決めるのは、基準となる物差しが必要になります。その物差しとは「快・不快の記憶」です。扁桃核は快・不快の記憶という物差しを使い、五感を総動員したすべての情報から、周囲の状況を「安全か、安全でないか」「好きか・嫌いか」と判断しています。
扁桃核には、あらゆる感覚情報が集まってきます。嗅覚、味覚、触覚、聴覚、視覚…いわゆる五感と呼ばれる感覚情報もすべて扁桃核に集まってくるのですが、それよりも根源的と言われるのが、腸管内臓系が発信する「内臓感覚」です。五感よりも根源的な「内臓感覚」は、腸管内臓系から発せられ、主に視床下部から扁桃核に入ってきます。
腸管内臓系は、情動感覚の重要な源です。
食物を消化・吸収するはずの腸が、知性の基盤となる情報源であったというのは、意外に思われるでしょう。
われわれの複雑な脳も、元を質せば、腸から生み出されたものなのです。ヒトのような高等生物においても、脳と腸とは親戚のような関係にあるということが、確認されつつあるのです。

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