西野皓三│逆境が人生を②

逆境こぞが人生を拓く②
人間においても、あくまで生きている快感を感じながら、逆境を次々打ち破っていくというのが基本的には望ましい、そして結果的にも充実した人生を生きるあり方なのです。
頭脳による小細工を弄せず、自ら体を張って未知の試練に挑戦したとき、人間はジョット・コースターに乗っている時のような心地よい恐怖感と快感を覚えます。ジョット・コースターに乗ると、人間は普段は感じない重力を実感します。これは動物が水から陸に上がった時の重力の手応えが身体のどこかに残っているかもしれません。
この恐怖感を伴う身体の手応えは、人間が何かに挑戦しようとする時、自分を見失わないための大きな助けになります。
本来、人間にとって快感と恐怖感は絶妙に繋がっていると言えましょう。
赤ん坊を抱えた親がよく行なう遊びに、「高い高い」というのがあります。赤ん坊が親の両手で高く差し上げられ、急に手元まで落とされるのですが、その時、赤ん坊は恐怖感を味わうと同時に快感を覚えるのです。赤ん坊はこうした動作をすると、かならず声を出して笑い、喜びを身体中で表わします。親という絶対の安全を保障してくれる人の手の中で起こる、そうした恐怖は赤ん坊にとって100%快感なのです。
大人も同様に自分に課せられた未知のハードルを、自らの行動によって乗り越えていくというのは、100%の快感を感じ、100%自己を成長させる生き方なのです。
生きていく本当の快感は「素敵な彼や彼女が欲しい」「かっこいい車が欲しい」「瀟洒な家が欲しい」という、頭の中でこしらえたイリュージョンでは得られません。アルコールやドラッグに頼るというのは論外です。生きていく快感は、逆境に打ち勝った時に与えられるものなのです。勇気ほど、人類の歴史の中で普遍的に誉め称えられてきた価値観はありません。勇気とは逆境に敢然と立ち向かうことなのです。

2020年8月
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