西野皓三│挫折より始まる①

挫折から明日が始まる①
逆境とは、挫折だと言ってもいいでしょう。挫折した経験のない人は、自他ともに認める、実りある人生を築くことはむずかしいと言えます。
挫折とは、単なる失敗という意味ではありません。人や社会の用意したマニュアルどおりの生き方をしているかぎり、そもそも本当の意味の挫折など体験できないのです。
挫折とは、自分のやりたいことがあり、そのことに向かって全力を尽くしてみた人だけが経験できるものです。全力を尽くしたが、力及ばず、思いが遂げられずに終わるということだけが、真の挫折なのです。こうした挫折を身をもって味わうことで、人間は次なる自分に向けて挑戦し、進歩していくことが可能になるのです。
人間は、大脳の発達した高等な生物であるがゆえに、文化・文明という有形無形の仕組みを作り、ありのままの自然の逆境を避けようとしてきました。これは生物として、人間として、ひじょうに危惧すべき状況にあると言えましょう。
もちろん、知恵や文化自体は素晴らしいものです。しかし、文化・文明という生きるお膳立てが整いすぎて、安定した社会(仕組み)が出来てしまうと、人間は安全圏にいることを、より望むようになってしまうのです。
お膳立てに乗り過ぎた、つまり頭脳知に傾きすぎた実例が受験体制だといえます。学に入る…こうして高いIQを身に付けた人は、世の中の仕組みに多少揺さぶりをかけられただけで驚くほどの無力さを見せてしまいます。これは、やはり真に挫折した経験がないがゆえの悲劇です。