西野皓三│挫折より始まる②

挫折から明日が始まる②
歴史は混乱と動乱の連続です。その間には束の間の安定期が存在しますが、それはあくまでも短期間のものでしかないのです。長いスパンで見たとき、歴史に安定という言葉は存在しないのです。
ところが多くの人は、束の間の安定期に入ると「世の中はこのまあいつまでも安定しているに違いない」と誰しもが思うようになるのです。
右肩上がりの繁栄が続くという錯覚に陥ると、人々は必要以上の努力はしなくなります。逆境を望まなくなるのです。社会に会わせて何でもマニュアルどおりにすることが最善の生き方だと思うようになります。企業は企業で、新しい製品を何が何でも開発しようというような努力を積み重ねるよりは、安易な財テクに走りがちになるのです。
今でこそ80年代後半の日本経済をバブル期と表現しますが、当時はほとんどの日本人が「この経済成長は当分続く」と信じていました。多くの人がそう信じたからこそ、その後の、バブル崩壊という経済破綻が起こったともいえますが、危機はむしろ、生命体としてのチャンスなのです。
まだ不良債権の処理、財政改革、経済改革などという混乱は続いていますが、そのような試練を経て、日本はやがてバブル崩壊後の経済を立て直していくでしょう。
人間は、そもそも何の保障もないところで生きているのです。課せられた試練に勇気をもって立ち向かい、そのハードルを一つひとつ自分で乗り越えていけば、そこにはかならず進歩が起こり、不思議と道もおのずから開けてくるのです。そうした人生は、けっして苦しいものでも暗いものでもなく、心地よい快感に溢れたものになるのです。

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