古歩道│カウントない医原病①

死因にカウントされない医原病①
全米で毎年78万人が医療行為によって亡くなっている。先のスターフィールド医師の調査報告では、医療行為によって死亡するケースだけでなく、それによって不具になったり、障害を被ったりする人数をアメリカで年間200万人以上と推計している。毎年200万人が医原病による重い疾患になっているとすれば、当然、それが原因で寿命を縮めて、別の病気を併発して亡くなるケースも出てこよう。その場合、直接の死因は、別の病気になるために医原病としてはカウントされない。実は、ヌル博士の78万人ですら、かなり甘い見積もりの可能性だってあるのだ。
ところが、医原病の恐ろしさをいくら説明しても、大半の人は、「まさか?」「さすがに大げさだろう」と、なかなか真剣には聞いてもらえない。
実際、本書の企画段階でも担当編集氏を納得させるまで、相当、苦労した。
本書の担当編集氏は、何冊もの医学関係の本を担当し、さらに「医療ドラマを観るのが趣味」と、かなりの医学知識を持っている。その彼ですら「医原病」については、「聞いたことはない」といい、全米1位の死因と説明した際、はっきりと「嘘でしょう」と返答してきた。担当編集氏とのやりとりの一部、紹介したい。
「確かに医療過誤、医療ミス、薬害などで、ある程度の人が障害を被り、病状を悪化させた結果、なかには亡くなる人もいることでしょう。ですが、現代医療で、それ以上の人が病気で、医原病的な失敗を反省し、改善していくなかで新しい治療方法が生まれ、画期的な新薬ができるんじゃないでしょうか」
この担当編集氏の弁こそ一般的な常識人の反応だろう。誰もが「まさか医療行為が死に直結している」と考えたくないし、「病院に行くと死期を早めるか、もしくは病状が悪化する」など信じたくもない、そう思うのは理解できなくもない。