古歩道│無保険者の人体実験①

なぜ4600万人もの無保険者がいたのか?①
フェイズ2が終了すればFDA(食品医薬品局)の認可がおりる。
ここで読者に、ぜひ、知っておいてほしいのは「薬効」が認められて認可されたわけではないということだ。ぶっちゃけ、薬効ゼロでもフェイズ2が終わっていれば認可を受ける。FDAの認可基準は、「安全」な使用方法が確認できているか、どうかだけなのだ。
FDAが認可すればメーカーは「新しい薬できたよ」と、大学病院なのに研究を引き渡して、メーカーの依頼を受けたドクターの研究チームが、この新薬で最も効果的な使用方法を調べる。それがフェイズ3で、ここで初めて「治す」という概念が出てくる。それまでは副作用を確かめているにすぎないのだ。
もうお分かりだろう。
最も重要で最も危険なフェイズ2をクリアするのは「人体実験」に喜んで参加する大量の「無保険者」が必須なのである。
断言していいが、この4600万人という数字は決して偶然ではあるまい。アメリカメーカーが世界シェアの半分を牛耳り、新薬開発競争に勝ち抜くために必要不可欠な人数として弾き出した数字であろう。あまり知られていないが、薬効には人種差がある。モンゴロイド系の黄色人種、コーカソイド系の白人種、ニグロイド系の黒人種、さらに混血の度合いなど、同じ薬でも効果はまちまちなことがよくあるのだ。イギリスで認可を受けた薬が、日本人に対して同様の効果を持つとはかぎらないのだ。
だからこそアメリカのメーカーは強い。人種の坩堝と呼ばれる国ゆえに、あらゆるタイプの人種が存在し、かつ、すべての階層や人種タイプに無保険者がいる。白人種だって「プアーホワイト」層はかなりの人数にのぼっている。アメリカ国民の6人に1人、4600万人という巨大な分母ならば、あらゆるタイプの症例も確実に揃う。どんな医薬品開発にも対応できる。メーカーにしてみれば、巨大な「薬物開発牧場」なのである。