古歩道│西洋医学①

西洋医学という「人を殺す」医療体制①
かつての大英帝国も第2次世界大戦後、急速に経済力が劣化していった。それでも数少ない国際競争力を持った産業が「医薬品」なのだ。
世界第6位のグラクソ・スミスクライン(3兆4000億円)、世界第7位のアストラゼネカ(3兆2000億円)で、グラクソ・スミスクラインは抗インフルエンザ薬の「リレンザ」が有名で、ファイザーが合併によって巨大化するまでは、世界一の医薬品メーカーだった。またアストラゼネカは、ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ社)の医薬品部門が母体となっている。このICIは、本書の後半で登場する旧ナチス・ドイツの中核企業だったIG・ファルベル(ドイツ)に対抗するため、大英帝国の威信をかけてバックアップした重化学工業兼軍需企業である。つまり、この2社は、単なるイギリスに本社を持つ巨大なグローバル企業というより大英帝国の「プライド」そのものなのだ。
もうお分かりだろう。イギリスはだいたい年間約20兆円の医療費を国庫で負担している。その20兆円は、つまり、この2社を巨大化していくための「食料」でしかなかったのだ。当然、NHSで処方される薬は、この2社の製品。値段は言い値で政府が買い取る。治療に必要かどうか、効果があるなしも関係なく、売上に貢献することが優先されてきたのである。また、アメリカのケース同様、貧困層を新薬開発の「治験」の臨床実験に参加させるには、GPでまともな医療を受けられないことが必須となる。イギリスもアメリカ同様、アフリカやアジアの移民が急増しているので、治験にはうってつけ。穿った見方をすれば、もともとNHSはグラクソ・スミスクラインとアストラゼネカを世界企業にするために制度設計していたと疑いたくなってくる。いや、結果だけみれば、あながち間違いでもないだろう。
アメリカとイギリスでは医療体制について、まったく違う考えをしてきた。アメリカ人は、医療制度に対して、国家は最低限の国庫負担にとどめ、その分、きちんと税率を下げる。安くなった税金分で、あとは自分たちで「やりくり」するという考えを持っている。逆にイギリスは税金が高くなっても「ゆりかごから墓場まで」政府が責任をもって面倒を見るという選択をしてきた。制度も運用も、文字通り、反対だった。