古歩道│優遇税制と薬価差益②

医師優遇税制の誕生と薬価差益②
医者(病院)が兼業して薬も患者に出すとすれば、どうだろうか。使用する銘柄、量、種類をすべて医者が決定するのだ。製薬メーカーにすれば病院と専属契約できれば自社製品を独占販売できる。そこで先の例にとれば製薬メーカーはペニシリンを100円ではなく80円で下ろしてくれるようになるはずだ。製薬メーカーは、帳簿上、100円で卸してくれるので、病院は1錠出すたびに、20円が入ることになる。こうなれば、あと医者とメーカーはやりたい放題、というか、そうならないほうがおかしい。
本当ならペニシリン1日1錠3日分でいいところに「念のため」と1週間分を出す。薬を飲み過ぎると胃が荒れるからと胃薬、さらに便秘になるかもと便秘薬、あとはメーカーの赤字分を補うために不必要なビタミン剤などもガンガン出してやる。
風邪の患者は、まさに「ネギを背負った鴨」。今では風邪なんて病院に行かなくても1日、2日、安静にして寝ていれば治ると多くの人は知っている。しかし、担当編集者も言っていたように、1990年代ぐらいまでは風邪は病院に行くのが「常識」だった。
「風邪ですか、じゃあ、まずは、抗生剤、それに栄養剤の注射もしておきましょう。楽になりますよ。咳。酷いですねえ」
「はい。ケホンケホン」
「いけませんねえ、じゃあ、咳止めシロップと、ドロップ、あと、うがい薬も出しますね」
「熱もなかなかひかないんですよ」
「うん、ああ、熱も高いですね。さぞ辛かったでしょう。はい、解熱剤、と、鼻水がひどいときは鼻炎薬もありますよ。食事はちゃんと食べていますか?」
「いやあ、食欲がなくて」
「ああ、しっかり食べないと治りませんよ。仕方ないですね。ビタミン剤をセットで出しておくので、とりあえずはそれで。ほかに、どこか体調は?」
「そういや、腰が痛くなってきて」
「臥せりがちですものね。そうだ、湿布と塗り薬も出しときますよ。湿布でカブれたときは、念のためステロイド剤も出しておきますから、安心してください」
「そりゃあ、ご親切に。助かります」
「お大事に。何かあれば、いつでもいらしてくださいね。診療時間外でも診ますんで」
「うっ、うっ、先生のような患者思いのお医者様がいて、ホント、ありがたいです」
こんな会話が冗談ではなかったはずだ。