古歩道│優遇税制と薬価差益③

医師優遇税制の誕生と薬価差益③
ともあれ、山ほど薬をもらっても3割負担ならば診察代込みで2000円程度。ドラッグストアで買えば何千円分となる薬をもらっているので高いとすら思わず、親切な医者と感謝するぐらいだろう。これが企業や各種団体で加入できる健保(健康保険)ならば、もっとすごいことになる。1970年代までは初診時に一部を負担する定額制で高齢者は原則無料の時代。1984年から2001年までは1割負担だった。当然、もっとお気軽お手軽に大量の薬を出したことだろう。
寝てれば治る病気で帳簿外の副収入で何千円も儲けさせてくれるのだ。寒空の中、わざわざ風邪で来院する患者、とくに健保の保険証を持った人など「お金」を運びに来てくれているのと一緒だろう。そりゃあ、医者の愛想もよくなる。坊主丸儲けというが、まさに「医者丸儲け」。それを支えていたのが、この「薬価差益」なのである。1兆3000億円がアングラマネーになっていたというのも納得できよう。
ちなみに風邪で抗生剤を打ったところで、何の効果もない。インフルエンザや風邪のウイルスに、既存の抗生物質はまったく効果がない。顔にできた吹き出物が、なぜか、治っているくらいだろう。もっと言えば風邪でインフルエンザで高い熱が出るのは、熱でウイルスを殺すためだ。下手に解熱剤を処方すればウイルスが体内に残り、治ったと思って無理をすると残ったウイルスが肺や、酷いときは脳で再繁殖する。これが急性肺炎や急性脳炎で、そうなると正真正銘、命に関わってくる。実際、そうして亡くなったり、後遺症になったりするケースは本当に多かった。そもそも大量の薬を飲んで身体にいいはずはないのだ。胃が荒れ、腹を壊し、それで体力が落ちて、また病院に通えば、それこそ別の病気に感染するリスクも高まる。薬価差益ほしさに薬を出し過ぎる行為は、完全に「医原病」なのである。
いずれにせよ、医師優遇税制と薬価差益のコンビがあれば、どんなヤブ医者だろうと、簡単、確実にアコギに儲けられることは理解してもらえたと思う。医者が、やたらと我が子に医者になれというのも頷けよう。これほど楽な商売はないと知っているからなのだ。