古歩道│日本側は“従犯”①

日本側は“従犯”だった①
NHK渾身のドキュメンタリー『汚染血液は海を渡った』は、輸入血液製剤を販売してきたミドリ十字社のアメリカ現地法人「アルファ社」の内部資料を入手するところから始まる。そこでNHK取材班は驚くべき事実を突き止める。アルファ社は、なんと1984年の10月まで、ルイジアナ州のアゴラ刑務所、麻薬中毒患者が多く収容されている刑務所から血を買っていたことが明らかになったのだ。それどころか、エイズ患者の多発していたロサンゼルスの同性愛者がたくさん住んでいる街の売血所を選んで知をかき集めていた実態も明らかになった。アルファ社は日本の厚生省に「ロスの売血所は1981年に閉鎖した」と虚偽の報告をしていたが、実際は1983年3月まで続けられていた。
アルファ社の製造記録と出荷記録には、もっと恐るべき内容も記されていた。凝固因子製剤のおよそ半分に「HIV感染している危険性が高い」血漿を混ぜた製剤を欧州メーカーは、1984年6月まで作り、その多くが日本の「ミドリ十字」に輸出されていたというのだ。
さらに1982年からよく1983年にかけて、ミドリ十字はアルファ社から製剤にして4000本分の原料となる血漿のサンプルを取り寄せて汚染度合いをチェックした。すると1341本のサンプルのうち、実に58サンプル(4・3%)でHIV陽性反応があったことを知り、愕然とする。
非加熱型の血液製剤は、2千人から2万人の採血した血液から血漿を抽出して製造する。4・3%もHIV陽性反応の血液が混じっていれば、半分以上の血液製剤が「汚染」していても不思議はない。血友病患者の4割が感染したのも当然、だったのである。
繰り返す。アルファ社が集めた血液は、全採血者の4・8%がエイズキャリアだった。単純計算で採血した100人のうち5人が「当たり」だった。

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