古歩道│悪魔の部隊①

「悪魔の部隊」が生まれた背景①
「旧日本軍『細菌戦研究』米が機密文書公開」(『産経新聞』2007年1月18日)
2007年、アメリカ公文書館は、「731部隊」についての機密文書を公開した。
機密文書は、ナチス・ドイツと日本の「戦争犯罪」を調査するため、ビル・クリントン政権当時の1999年、アメリカ政府の関係機関で構成された記録作業部会(IWG)が精査したもので、アメリカ中央情報局(CIA)や前身の戦略情報局(OSS)、日本を占領した連合国軍総司令部(GHQ)などの情報文書を分析した対日機密文書10万ページ分をまとめて公開したのだ。
そのなかには、731部隊のリーダーだった石井四郎陸軍軍医中将の尋問記録を含め、731部隊についての記録も多かった。
一部、新聞記事を引用しよう。
「細菌戦の研究競争が大戦下で進む中、米側は日本の細菌兵器使用を終戦まで警戒していたほか、奉天(現瀋陽)の収容施設で、連合軍の捕虜に細菌実験が行われた形跡がないかを戦後調べたことが判明した。同じく米本土に対しても、日本からの風船爆弾が細菌戦に使われないか、米海軍研究所が回収した現物を大戦末期に調べ、『細菌の散布装置がついていないことから、当面は細菌戦を想定していない』と結論づけた文書も公開された。
(中略)
細菌戦に関する米国の日本に対する関心は、44年ごろから終戦までは、細菌兵器の開発状況と731部隊の活動実態の解明に重点が置かれ、終戦から47年ごろまでは、同部隊関係者への尋問による研究成果の獲得へと、重点が移っている。
同じ文書には、『日本南部の山中』に隠されていた『細菌に侵された2000人以上から採取された病理学上の標本スライド厄8000枚』が、47年8月末までに米側に提供されていることも付記されていた」(『産経新聞』2007年1月18日)
ちょっとわかりにくい記事だが、要するに731部隊は、巷間、囁かれていた「中国大陸で非道な人体実験を繰り返し、ジュネーブ協定を無視して細菌兵器をバラ撒く悪魔の部隊」ではなかった、731部隊を調査したアメリカはそう結論づけていたのだ。

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