古歩道│医者不足②

「しなくてもいい手術」をする医者はたくさんいても「医師不足」とは?②
治療行為も同様だろう。手術なども安全性が強調されすぎて、それに対応するために医療機器がどんどん増える。これまで3人でよかったスタッフを倍増する。人と機材が倍になれば、コストも倍になる。が、医療保険の定めた手術の値段自体は変わらない。盲腸(虫垂炎)の手術は、倍の人数をかけて手術しようと、同じ値段なのだ。となれば、病院を経営するために、できるだけ高価な「手術」を増やすしかなくなる。
ここで読者に理解してほしいことがある。「しなくていい手術」とは、もっとも「儲かる」手術と同義なのだ。つまり、時間をかければ内科的医療で治るとか、病気と長く付き合う意識があれば、十分、日常生活を営める軽度の慢性疾患とか、下手をすれば、しばらく安静にしていれば自然治癒する程度の「病気」を手術することなのである。
もともと軽い病気なので、手術の難易度は下がり、時間も短縮する。ローリスクハイリターン。しかも成功すれば手術実績にカウントされ、医師は「名医」、病院は「いい病院」と呼ばれる。もちろん、金だってたっぷりと儲かる。最新医療機器というのは、そうした「早期発見」と、軽度状態の病気を手術へと誘導する「はったり」の道具なのだ。
「あなたは本当に運が良かった。うちの病院で、この最新医療機器を導入したのは、つい最近でしてね。今までならば、病気になっていることすら気づかなかったでしょう。今の段階で手術すれば、確実に治ります。しかも身体の負担も少なくてすみます」
こう、ドクターに薦められたら、たいていの人は「いい病院に当たった」と、大喜びで手術を受けることだろう。

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