古歩道│自然死③

自然死は「痛み」を感じない③
そこで大病院側は、大切な肉親の死を前にした家族に、耳元でこう囁く。
「最高の医療を提供してあげるのが最後の親孝行ですよ。私たちに任せてください」
家族にしてみれば、「できる限りのことをしてあげたい」という感情を持っている。そんな肉親の情につけ込むのだ。
老人たちの苦痛のうえで儲けたお金で最新医療機器を買いまくり、スタッフを集め、医師たちを必要以上に確保する。ちょっと前まで一人の医師でやっていた仕事を10人でやっていれば「医師不足」にならないほうがおかしい。それが医師不足の原因なのだ。
正しい医療とは「自然死は痛みもなく大往生できる」という情報を提供することである。亡くなる老人も自宅で家族に見守られながら自然死(老衰死)するほうが、よっぽど嬉しいはずだ。自分の父親も、そうして自宅で亡くなった。安らかな死に顔だった。
先進国における死因第一位が「自然死」になることが、人殺しではなく、正しい医療の姿なのである