言霊百神│創造の序曲⑦

天沼矛(あめのぬぼこ)③
人間は本源の先天を保有し活用する宇宙の子であり、神の愛子(まなご)であり、生身の仏陀である。冷煖自知と云えば単に感覚上の問題である如くであるが、自知の意義を知性全般に拡大すれば、みずから、そしておのずから事物の是非善悪正邪美醜を識別判断する能力であって、この判断能力は元来人間本具の先天性であるから、これを活用する上には他の何物の助力指導を借りる必要もなく、他の如何なる哲学や概念等に準拠しなければならぬ必要もない。人間はみずから行く道をこの先天の指導のよってみずから開いて行く。同時に広く人間の社会の道もこれによって導いて行くことが出来る。そのためには社会には何等特殊の主義も思想も、法律や道徳さえもが不用である。その人間各自の、しかも共通普遍である先天的能力自体がそのまま法律を生み道徳を創るものであるからである。これが人間社会の理想の姿である。元来法律や道徳はそれ自体が実体として存するものではなく、この人間の先天能力の所産であって、それを表現しようとする第二次的な便宜的なすなわち文明的な営みに他ならない。「大同廃れて仁儀あり」(『老子』)である。

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