言霊百神│大行①

ここに伊邪那岐命(イ)、伊邪那美命(ヰ)が先天の全内容である「天津神諸の命」を携えて、後天としての生命の具象的顕現、すなわち神話的に云う宇宙創造の、『易』の所謂「大行」が開始される。然し大行と云っても此処はまだ高天原神界、法界と云う精神的宇宙に於ける事態であるから、もとより比喩である神話の表面に示されている如き肉体的な行為などではない。その本具の先天が人間の知性として如何に発現するか、それを如何に正しく発現すべきかに就いての工夫と仕業であって、その業は既に先天として開闢し把握されているところの実在と識とを相互に交流作用せしめて「実相」を修理固成する精神的。内面的な行いである。
実相とは物事の有りの儘の様態である。事実そのものの事である。「渓声長口舌、山色妙色身」と云い、「柳は緑、花は紅」と云い、或いは「十目の視る所、それ厳なるかな」(『礼記』)と云う。更に一層これを端的に示すならば「庭前の拍樹子」(『無門関』「第三十七則」)であり「麻三斤」(『無門関』「第十八則」)である。古来実相の正体はこのようにして指摘されて来た。

2021年10月
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