言霊百神│子音の意義⑧

この所をもう一度「行」の上から説明しよう。自己反省を推し進めることによって、今まで自分が考え、自分の経験して来たこの世の一切の事象は初めも終わりもない夢であり、迷いであったことが心底から反省された時、その夢が朝霧のように消えて行くと、忽然として本来の「空」の世界が開ける。此の空に住することが禅定であり、止観であり、或いは念仏三昧であり、鎮魂帰神である。空は現象発現以前の宇宙自身、実在自体である。これを「父母未生以前の本来の面目」などとも云う。其処からやがてすべてが現われて来る兆である可能性を包蔵し、しかも未だ一物も現われない境域である。渾然たる一者であり全宇宙であるこの境域が確立することが宗教上の「信心の決定」であり、魂の救われであり、真実の人生への正規の出発としての悟りであり、すなわち魂の復活である。

2024年4月
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