言霊百神│子音の創生⑪

一念が発現するためには全宇宙法界の活動を必要とする。諸法の実相はそれ自体で孤立して生成存在するものではなく、全宇宙の活動と云う根拠と機構と背景の上で初めて現前するものである。すなわち人間の一音一声が発せられるためには精神全体とそして肉体全体の機能が一刹那の間に総動員される。斯くの如く法界としての全宇宙を基盤としてそこから編み出され選び出される一音一声あり一念であるから、その一念が宇宙の如何なる時処位に在るものであるかが明瞭であるのである。時処位の確立した事物が実相である。
だが普通には日常はこの事が自覚されず、言語すなわち一念と宇宙全体の関係は、その自覚が途中の何処かで朦朧模糊として断絶しているから、言葉は精神や肉体の或る部位から発して来るものの様に考えられるが、覚者は自己並びに相手の言葉が出て来る状況を全宇宙の立場に立って洞察する。たとえ相手が嘘を吐いても、それが嘘であることをそのままの実相として観察する。仏の前には嘘は成立しない。