言霊百神│子音の創生⑬

色々と述べたが凡そ以上を前置きとして三十二神の開顕を始めよう。但し度々云うように『古事記』神名はすべて比喩表現であり、謎としての咒文であり、およそその実体を指せばよいところの「指月の指」であるから、判で押したような的確な解釈を望み得ぬ場合が多い。咒文は言霊を証明するものであるが、その咒文に指導されて言霊に到達することはなかなか困難である。
以下、子音と神名の対照は山腰明将の研究発表に拠る。然し山腰明将氏が如何にして、或いは何人から教えられて此の対照符合を得たか、筆者は聞かなかった。然し言霊学の先駆者だった大石凝真素美氏もこの事を知らなかったから、この対照の根拠は民間のものではなく、宮中賢所にその原典が有った筈のものである。山腰明将氏の厳父山腰弘道氏は明治天皇の『古事記』研究のお相手をした書道家で、神代仮名文字の研究家であった。