言霊百神│父韻の所在②

ピアノは鳴っていないし、虹には色が無い。ピアノ自体はただ無音に振動しているだけで、ピンともポンとも鳴ってはいない。その振動が聴覚という知性の振動とシンクロナイズする時、初めてピアノの音色が現われるのである。虹はただ無色の光波を発散しているだけである。その振動が視覚とシンクロナイズする時、初めて七色(八色)の綾が現われる。禅問答の様な話をしたが、斯くの如きが真実である。故にこの実相発現の原理を主体側からのみ見るならば「三界唯心、万法唯識」であるわけである。森羅万象は自覚と無自覚に拘わらず、実は人間が刹那刹那に創造しつつあるものである。そしてそのリズム(韻、響、律)に陽音と陰音があるからこれを海汐音と云う。すなわち汐満る珠と汐千(ひ)る珠である。