言霊百神│父韻の所在①

ここで父韻についてもう少し説こう。『法華経』「普門品」の観世音菩薩が聞召す音を「梵音、海汐音」と云う。梵音は大自然ブラーマの音であって、それはアイウエオの五母音である。自然音にはこの五つだけしかない。それなのに雨の音は「ザー」と聞こえ、風の音は「ゴー」と響き、鐘は「カーン」と鳴り、そして電燈は「パッ」と点り、車は「クルクル」と廻る。この大自然の音の中には存在しないz、g、k、p、r等と云う韻(ひびき)は一体何処から来るのだろう。
このひびきがすなわち父韻であって、それは人間の仕業である。人間の知性活動の作用である。母なる自然音に父なる知性のリズムが乗じるから物事の音色があらわれる。人間の知性活動の作用である。母なる自然音に父なる知性のリズムが乗じるから物事の音色があらわれる。人間の知性を加えて聞くのでなければ「ザー」「ゴー」「カーン」と云うような音色は自然には存しない。電燈は「パッ」と点るわけでなく、車は「クルクル」廻るわけではない、その音のように人間の知性が現象発現のリズムを捕えるのである。物事の現象、実相を現出する知性のリズムは認識の主体側に於てのみ活動する。客体側には存在しない。

 

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