哭きたまふ時に、御涙に成りませる神は
哭くは声を出すこと、涙は泣いて水を垂らすこと。垂れた涙は五十音図の最下段のイ・キシチニヒミイリ・ヰの所に集まって、其処で父韻の原理を現わす。
香山の畝尾の木のもと(本)にま(坐)す、名は泣沢女神(なきさわめのかみ)
香山は書く山をもじったもの、迦具土のカクと同じである。五十音図の五段は五つの畝(ウの音)の尾をなしている。アイウエはウ音の発展である。その枕方には高木神(扶桑樹)アオウエイがあり、足方には神産巣日神(若木)がある。その樹の根方にある音はイ・チキミヒリニイシ・ヰであって、八つの父韻は泣き騒(さは)ぐ神である。