言霊百神│四つの比礼②

筆者は今のところこの山津見八神は八種類の神代文字の事ではなかろうかと考えている。『竹内文献』や『ウエツフミ』等の古文献はいずれも神代仮名文字で記されたもので、その種類を精しく分けると数十通り、数百通りを数えられる。石上神宮の「十種の神宝」の中に「蛇の比礼・百足の比礼・蜂の比礼・種々物の比礼」とあるのは四種類の典型的な神代文字のことである。比礼(比良・牧・平)は霊顕の意義で、すなわち文字である。蛇の比礼は右の竜形文字であり、百足の比礼は楔形文字、鳥跡文字であり、蜂の比礼は大八島文字、あひる文字、対馬文字であり、種々物(くさぐさのもの)の比礼は象形文字である。何れも五十音を夫々の手法構成法によって形に表わしたもので、各々に特徴がある。神代文字の手法はこれだけではなくその他にも色々変わった書き方がある。それ等の全部を概括して八山津見の八手法として『古事記』が述べたものであると考えられるが、正確なことは今後の研究に俟つ。

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