言霊百神│絶妻の誓⑧

然しこの時、伊邪那岐命は妻神をもう一度求めて客体世界の黄泉国に赴いたが、その渾沌に追われて逃げ帰って来た。すなわち主体が主体自身の世界へ逃げ帰って来たわけであるが、ここで愈々霊と体、物と心、主と客である岐美二神が正式に離別の宣言をすることとなった。この夫と妻に当る二命(ふたみこと)が離婚と云う形でその住み経営する世界を異にすると云うことは如何なる事実を云うことであるかを改めて確認し、その真義真相を明白に自覚して、心と外界との境を定め、心が心として成立する原理が存在する領域の限界を定め、同時に物が物として存在する範囲を定めて、生命の自覚者としての創造の主体性の内容を確立したことが「事戸の度し」である。故にこれを「絶妻之誓(ことど)」(『日本書紀』)と書く。