是を以て伊邪那岐大神(の)詔りたまわく
吾は伊那志古米岐(いなしこめしこめき)穢き国に到りて在りけり、
かれ(故、)吾は御身の祓せ(為)なとのりたまひて
此処に伊邪那岐大神と云う言葉が初めて出て来たことに注意する必要がある。今までは単に伊邪那岐神または命とのみ記されてあったが、ここで特に大神と称するわけは、「御子産み」と「黄泉国」の経緯を経た後に於ける伊邪那岐神の行動は彼れ単独の行動ではなくして、伊邪那岐、美二神(二命)の神力神理の総合体としてのそれであるわけで、伊邪那岐大神と云う時は伊邪那美神もその中に含まれている。おほみま(御身、大身)とは岐美二神を総合した全宇宙身、全世界身である。