言霊百神│禊祓(二)②

御杖とは人間の魂の憑(依)代と云うことの象徴である。本講義は今まで此の魂の依り代についての各部面に関して説いて来た。復習になろうが、「天之御柱、国之御柱」と云う時は「一心の霊台、諸神変通の本基」(『神道五部書』山崎闇斎記)であって、「我れ今ここに在り」と云う「中今」を貫く自覚の本体であり、言霊を以てこれをあらわせばアオウエイ(風水空火地・木水金火土)の五大五行であり、これを不動明王と云う。「剣」と云い「沼矛」と云う時は時間、空間、次元の内容としての空想、実相を判断し総合する統覚の作用である。それはまたアオウエイ五母音であり、特にキシチニヒミイリの八父韻である。
斯うした統覚の実体と活用をキリスト教では「アロンの杖」と称し、禅でも同じく剣と云い、或いは「拄杖子(しゅじょうす)」と称している。「汝は拄杖子有らば、我汝に拄杖子を与えん。汝に拄杖子無くんば、我汝の拄杖子を奪はん」(『無門関』「第四十四則」)と云う公案はその統覚である自我が拠って立つ心棒の確立を慫慂した教えである。

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