中国秘伝ひとりあんま気功③

気功も悠久の歴史をもつ
 あんま療法だけでなく、気功もたいへん古い歴史をもっています。周(紀元前一一二〇頃〜七二二)の時代につくられた銅器に気功をしている人々の姿が描かれていますから、いまから二五〇〇年以上むかしに気功が行われていたことは確かです。やがて春秋戦国時代(紀元前七二二〜二二一)になると、気功で病気を治療する試みも始まっていますし、気功について書かれた文献もたくさん残されています。
 また、春秋戦国時代は、「諸子百家」と呼ばれた、多くの個性的な思想家を生み出した時代でもありました。そのなかでも、現代にいたるまで中国人に深い影響を与えた思想が、儒教と道教です。この儒教と道教にも気功は取り入れられ、それぞれ独自の発展の道をたどってきました。
 同じころ、インドで仏教がはじまり、やがてこの新しい思想も中国に伝えられました。そして、中国の仏教も気功を取り入れるようになったのです。
 一方、武術家たちも気功を行い、医者も気功を養生法として開拓していましたから、気功は大きく五つの流派に分かれしのぎを削ってきたのです(もちろん細かく分けると、数え切れないほどたくさんの流派がありました。それこそ、先生の数だけ流派があったのです)。
 ところで、気功という名称は、わりに新しい名称です。初めて気功と言う名前が文献に登場したのは一九三〇年代、一般に通用するようになったのは一九五〇年代後半のことです。それ以前は道引(体操法)、吐納(呼吸法)、行気(鍼とあんま)などと呼ばれていました。日本でもおなじみの「坐禅」という言葉も、一時は気功のことを指す言葉として使われていました。

2024年4月
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