中国秘伝ひとりあんま気功④

体内で外気と内気が無言の交流をする
 ここまで、あんまと気功をべつべつに扱ってきたため、読者のなかには、なぜあんま気功法なんだと疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。確かに一人でできるという点では同じでも、あんまは治療法の一種で、気功はどちらかといえば養生法の一種です。しかも、体の動かし方も違います。
 そうであるにもかかわらず、あんま気功法という言葉にこだわるのは、気功だけでなく、あんまにおいても気の動きが重要なポイントになるからです。
 日本では、あんまは力まかせにツボを押したり、痛いところをもむだけの療法だと思っている人が多いようです。けれども、あんまは腕相撲ではありませんから、ただ力まかせに手を動かすだけではたいした効果をあげることはできません。気を動かす事が必要なのです。
 人間の体の中を流れている気を、「内気」と呼びます。一方、体の外に放出された気を、「外気」と呼びます。あんまにおいて大切なことは、この外気と内気の呼応し合う関係です。つまり、手から出た外気がツボに注ぎこまれ、それが体内の気を刺激して、体内の気の流れをスムーズにしていくことが治療効果を高めるうえで重要なポイントになるのです。
 しかし、外気が出て、内気がそれに呼応するためには、一定の手続きが必要です。人間の手とツボは、気の自動販売機ではありませんから、手でツボを押しさえすれば、自動的に気が出るという具合にはいかないのです。そこで、あんまをはじめる前に、まず姿勢をととのえ、精神を統一し、呼吸をととのえ、手に気を集めておく必要があります。そして、この手続きは気功をはじめる前の手続きと共通するのです。

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