中国秘伝ひとりあんま気功⑤

 このような手続きを経て、ツボを刺激すると、ツボに気が送り込まれ、やがてツボの周囲に独特な感覚が生じます。つまり、この感覚がツボが気を受け取ったという反応なのです。この反応のような合図を「得気」、または「酸脹感」といいます(この本ではすべて「酸脹感」で統一します)。
 では、得気と酸脹感とはどんなものか、説明します。得気には、大きく分けて五種類あります。それは①酸(だるい感じ)、②麻(しびれる感じ)③涼(涼しい感じ)、④熱(熱い、または暖かい感じ)⑤脹(はれぼったい感じ)の五種類で、そのうち酸と脹の感覚を酸脹感といいます。ただし、この五種類の感覚をすべて感じる必要はありません。五種類のうち、どれか一種類の感覚を感じればいいのです。
 つまり、あんまは外気と内気との静かな無言の対話なのです。手から外気を送り込むことが友人の家のドアをノックする事だとすれば、酸脹感は家の主の無言の返事なのです。
 このように気と気の対話が成り立たないと、効果がないので、私はあんま法とは呼ばずに、あんま気功法と呼ぶようにしているのです。また最近はブームに乗って、気功という新語がひとり歩きをしてしまったため、あんま法と(養生)気功法はべつべつの療法だと誤解されるのですが、実はそうではありません。あんまの方法と気功の方法は理論において同根であり、歴史的にみても、あんまと気功は同じ根から咲いた二つの花なのです(気功を指す行気という古い名称が、同時にあんまや鍼による治療を意味していたことを思い出していただければ、わかると思います)
 そこで、この本ではあんま法と養生気功法、両者のもっともすぐれた手法を紹介するとともに、二つの療法の長所を合体させることを試みてみました。

2024年4月
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