父母の恵みと自然の恵みが気の源流
では、次に問題をしぼって、人間の体内に流れる気について考えてみましょう。
人間の生命エネルギーである気は、それがなにから人間にあたえるかという起源の違いによって二種類に大別されます。
一つは人間が生まれる瞬間に両親から受け継いだ気で、これを「先天の気」といいます。先天の気は、先天的なものであるだけに、その後の人生において減ることはありますが、増える可能性はありません(歳をとるにつれ、先天の気は残り少なくなり、生命の力が衰えてきた状態を老化現象といいます)。
一方、人間は日々豊かな恵みを受けて生きています。新鮮な空気を吸い、水を飲み、たくさんの海の幸、山の幸を食べてエネルギーを補給しています。この人間が日々の生活のなかで補給したエネルギー、空気、水、食料から新たに得たエネルギーを「後天の気」といいます。つまり、後天の気はその人の心がけしだいで増やす事もできる気です。
そして、先天の気はおもに腎にたくわえられる考えられているため、腎を「先天の本」といい、人間が飲んだ水分と食べた食物はおもに脾の働きによって消化、吸収され、吸収された栄養分はやはり脾の働きによって全身に運ばれていくと考えられているため、脾のことを「後天の本」と呼んでいます。
ところで、後天の気は、さらに三種類分けられます。自然の空気から生まれた「精気」、飲食物のエキスから生まれた「穀気」、その両者が結合してできた「宗気」の三種類です。
このように、父母から受け継いだ先天な気に三種類の後天の気が合流して一つのものとなり、人間の体内を駆けめぐっています。もちろん無秩序に駆けめぐっているのではなく、一定の法則のもとに、定められたコースを駆けめくっているのです。