中国秘伝ひとりあんま気功⑬

安らぎを準備する心身の調整
　スポーツをする前にかならず準備運動(ウォーミングアップ)をしなければならないように、あんま気功法もその準備段階で心身の調節を行う必要があります。けれども、スポーツにおける準備運動とあんま気功法における心身の調節は、その向かう方向が全く異なります。準備運動は激しい運動にそなえて体をスタンバイさせることですが、あんま気功法の心身の調整はその逆、安静状態にそのえて心と体をスタンバイさせることなのです。
　たとえば都会の雑踏にかこまれて生きている人が休日を自然のなかでゆったり過ごすように、雑音にかこまれた日常的な時間からチャンネルを切り替え、ほんの数分間だけ身も心も安静な状態にいたる準備をする、それがあんま気功法における心身の調節なのです。
　さらに医学的な見地からいえば、経絡における気の流れをうながし、気の流れを円滑にするためには、前もって心身を調節することが不可欠だからです。
　すでに述べたように、あんま気功法においては、手からツボへ気を送りこむことが大切なポイントになります。治療効果を左右するといってもいいすぎではないほど、重要なウエイトを占めています。
　ですから、あんま気功法にとりかかる前に、まず手から気が出やすい状態に心と体を調節する必要があるのです。また、さまざまなストレスによって、体内の気や血の流れが乱れている可能性がありますから、気の流れを平常にもどしておく必要もあります。
　そこで、体内の気の流れを安定させ、手から気が出やすい状態へとチャンネルを切り替えること、つまり心身の調節が重要な意味をもってくるのです。