中国秘伝ひとりあんま気功⑯

よいイメージを思い浮かべ、雑念をはらう
 調心は自分の意識をコントロールして、雑念をはらい、精神を統一し、究極的には無の境地にいたることです。しかし、仏教僧や武術の達人でない限り、いきなり無の境地になれと言われても、なれる人はいません。
 ですから、雑念をはらおう、はらおうと思うのではなく、心に良質なイメージを思い浮かべたり、気功に適したプラス思考の言葉を唱えるなど、雑念にとってかわる思念を持つようにすればいいのです。
 良質なイメージとは、たとえば森、湖、海など、自分の好きな美しい風景を思い浮かべることです。または、自分にとって最高に楽しかったことを思い出したり、あんま気功法によって健康をとりもどし、元気になった自分の姿を想像したりすることです。
 このように、プラスのイメージを思い浮かべることで雑念をはらい、心のなかのキャンパスを無理に真っ白にしようとするのではなく、心のキャンパスに美しい風景や楽しい思い出の絵を描いて、雑念の入る余地をなくしてしまうのです。
 一方、プラス思考の言葉を唱えることを「黙念法」といいます。唱える言葉は、「静かに、静かに」とか、「安らかに、安らかに」など、調心に適した言葉ならなんでもかまいません。あるいは、そのあんま気功法を行う目的を言葉にして、「血圧が下がる、血圧が下がる」とか、「やせてきれいになる」などと唱えてもいいでしょう。ただし、あまり一心不乱に唱えてつづけないよう注意してください。過度に意識を集中すると、かえって精神の緊張をもたらし、安静の境地とは正反対の境地を招きかねないからです。ですから、適度な間隔をあけて、ゆったりした口調で唱えるようにしましょう。もちろん、黙念法というくらいですから、口にだして唱えるのではなく、心の中で唱えなければなりません。
 もう一つ、雑念をはらい、意識を統一するために、効果的な方法があります。それは意識を体の一部に集中させることによって、雑念をはらう方法です。これを「意守法」といいます。意守法でよくつかわれる体の個所は手、または丹田です。丹田には、上丹田、前丹田、下丹田、内丹田、後丹田などがありますが、あんま気功法で意守するのはおもに前丹田で、これはヘソから親指の横幅で一・五本分ほどヘソの下までの範囲を指しています。
 手と丹田に意識を集中するのは、雑念をはらうためだけでなく、もう一つ目的があります。それはあんま気功法にそなえて気の流れをととのえておくことです。

2024年4月
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