中国秘伝ひとりあんま気功⑰

 丹田を意守するのは、丹田は本来気が集まるところなので、ここに気を集めて体内の気の流れを調節する目的があります。また、手を意守するのは、ツボを刺激する前に手に気を集めて、手から気が出やすいようにスタンバイするのです。
 ただし、意守法を行う際も、意識を集中しすぎないように注意しましょう。あまり過度に意識を集中すると、かえって精神を緊張させ、「偏差」と呼ばれる副作用をもたらす結果になります。
 そこで、意識しているようで、意識していない、意識していないようで、意識している…そんな軽いフットワークの意識の集中を心がけるようにしましょう。
 こうして良性意念、黙念法、意守法などによって、結果的に雑念を追いはらい、心安らかな境地にいたれば、無の境地にいたれば、無の境地にならなくても、調心は成功したことになるのです。
 では、調心の具体的なやり方を説明しましょう。調心のやり方は一様ではなく、あんま気功法の種類によって微妙にちがうのですが、ここではいちばんポピュラーな方法を取り上げてみることにしましょう。
①まず、かるく目を閉じます。目をあけたままでいると、どうしてもまわりの人やものに注意をうばわれ、雑念をはらいにくくなるからです。
②つづいて頭から雑念をはらい、頭を空白の状態にします。それができなときは、なるべく心の安らぐイメージや楽しいイメージを思い浮かべます。
③ヘソにかるく意識を集中して、丹田に気を集めます。こうすると、やがて丹田が温かくなってきます。
④両手にかるく意識を集中して、手に気を集めます。こうすると、やがて手が温かくなってきます。
 ただし、ヘソや手に意識を集中して気を集めるのは、初心者にはむずかしい場合もあります。いきなり丹田や手を意守しても、なかなか丹田や手が温かくならないこともあるのです。ですから、はじめてあんま気功法に挑戦する人は、丹田を意守することは除外して、ただ腹式呼吸をしながら、両手のひらをこすり合わせるだけにしてください。
 両手のひらをこすり合わせも、しだいに手は温かくなってきます。そして手が温かくなるのは、手に気が集まったからなのです。つまり、手を意識して気を集めることができなくても、両手のひらをこすり合わせることで、同じ効果をもたらすことができるのです(なお、この本では、一部の例外を除いて、両手のひらをこすり合わせる方法に統一してあります)。

2024年4月
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