中国秘伝ひとりあんま気功⑲

 指先を垂直に立ててツボを押すと、その先端はかなり細い点に近づきます(ですから、鍼麻酔のかわりに指先で麻酔をかけることもできるのです)。ところが、指面はわずかな面積だとはいっても、指先に比べれば、その数倍の面積でツボに接することになります。また同じ指面で押すにしても、つかう指が親指と中指ではツボに接する面積もかなりちがいます。つまり、つぼにかかる圧力に差が出てくるのです。
 指ではなく、もっと広い面積をつかってあんまを行うときも、手のどの部分をつかうかによって、ツボや患部にかかる圧力と刺激の量にちがってきます。
 この肉の厚みの差が押したり、もんだりするときに刺激の差、圧力の差となってあらわれます。しかも、圧力の差は痛みの差でもあるのです。たとえば、お尻のように肉のたっぷりついたところは少々強く押しても痛くありませんが、胸や背中のように肉の薄いところは強い圧力をかけると痛くてたまりません。
 そこで、体のなかで肉の薄いところは、親指の根元のような肉の厚い部分を用い、肉の厚いところは手首の上の部分のように肉の薄い部分を用います。
 こんなふうに手のどの部分をつかうかによって、ツボや患部にかかる圧力と刺激の量が微妙にちがい、それにともなってひとりあんまの効果も微妙にちがってくのです。
 しかも刺激の量は、時間によっても左右されます。同じツボを刺激しても、時間が足りないと効きめは薄くなるのです。本文中では、多忙なビジネスマンのために、ツボを刺激する時間を最小限の時間におさえてあります。ですから、なるべくその時間どおりにツボを刺激し、もし時間に余裕がある場合は、ツボを刺激する時間を増やしてください。本文中に書かれた時間が三〇秒なら、一分~一分三〇秒までは適切な範囲です。そして時間が倍増することで、効果も倍増することも期待でくるのです。

2024年4月
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