中国気功学_気功の概念

第一説 気功の概念
 第一説 気功の概念
 気功は中国古代の人々が生活や労働の中で、疾病や老衰と闘いながらしだいに認識し創造するの至った一種の自己心身鍛錬の方法および理論であると思われる。それは姿勢調整、呼吸鍛錬、心身のリラックス、意念の集中と運用、リズミカルな動作などの鍛錬方法を行うことを通して、人体の各部の諸機能を調節・増強させ、人体の潜在能力を誘導し、啓発することを目的とする。気功には保険、強壮、疾病の予防と治療、延命の作用があり、そのなかで気功を疾病の予防および治療に用いるとき、これを気功療法と呼ぶ。この意味で、気功は医学的遺産のひとつに数えられろのである。
(1)医学的遺産としての気功 最古の教典である『黄帝内経』が当時すでに行われていた有効な治療手段をヘンセキ、毒薬、灸ぜつ、九針、導引按蹻(古代の気功にあたる)の五つに総括しているように、気功は中国における伝統的な医療手段のひとつである。清の呉尚先が『理瀹駢文』の中で述べた「呼吸吐納、熊経鳥伸(熊のようにぶらさがり、鳥のように身を伸ばすなどの動物の動きをまねる意)の八文字こそ導引法」とは、ちょうど現代気功でいうところの静功と動功をさしている。
 しかし、気功の方法は文字では表しにくいものであり、古今の医家でもこれを体得した人となると、そう多くはない。清代の周学海が『新刻諸病源候論序』で述べたとおり、「導引法の説明文は奇妙にして意味深長なのでまったくもって解り難く、恥ずかしいことのその法を習うことができない」ものであった。ここからしばしば神秘的で不可思議なものとみなされてきたうえ、医師からは医学的価値はなく、とるにたらないものと、見離されてしまうことになった。過去の中医学界に気功の専門家が少なかった主な原因はこの点にある。
 気功を含む中国の医薬学は、偉大な宝庫というべきでものではあるが、そこには歴史的条件による制限が反映されており、精華ばかりでなく糟粕までが多分に含まれる。そこで不断の臨床実践によってこれらを継承し、整理し、発展させる必要がある。したがって書籍に記載された気功の方法をうのみにして、すべてそのまま臨床に応用できると考えてはならないのであり、何を捨て何を残すのかが重要なポイントである。
(2)気功の主作用は病気の予防と治療である。
 気功の鍛錬は保健・強身のためばかりでなく、体力が消耗する慢性疾患、なかでも中枢神経の乱れと自律神経失調が主な原因で発生する、中医学でいうところの内傷七情に属する疾病に対して、かなりよい治療効果をもっているのである。気功は医療措置のひとつとして、疾病の予防および治療に役立つほか、次のあげる多くの方面に応用することができる。
①スポーツ スポーツ選手が気功の鍛錬法は良い成果あげる。
②演劇 役者も気功鍛錬をすると良い
③書画 書画の人は長寿の人が多い、これも気功の鍛錬と関係がある。
④著作 練功すると文章が上手く書けるようになる
⑤教育 学生が気功の訓練をすると神経機能の失調を回復させることができる。
(3)気功は一種の自己心身鍛錬法である。
 気功は病気の予防・治療と体質強化を目的とし、意識的に心理的生理的活動を調節することによって、対象とされる自己の心身失調を予防・治療するための鍛錬方法である。これは大きく静功と動功の二つに区別することができる。静功とは、座位・臥位・立位など表面上は静的な姿勢をとって、松・静・守・息などを行うものを指し、身体内部の鍛錬を重視する意味を「内功」と呼ばれている。しかし、鍛錬方法といわれる以上、そこには必ず動の要素が含まれる。
 動功とは意と気を結合させ、各種の身体運動および自己按摩、叩打などを行うことによって内臓・筋骨・皮膚を鍛える方法である。動きが外に現れることから「外功」とも呼ばれる。さらに注意力が集中し、想念が安定した状態におかれていることから、これは「動中の静」といわれている。
 このように、気功とは非常に深い内容を持つものであり、一種独特で積極的な、生体内部を鍛える訓練方法なのであって、単なる呼吸法でもなければ休養でもなく、ましてや心理療法などではない。