気功の基礎研究⑤

第2節呼吸器系
(1)呼吸数
上海市第一医学院生理教研グループ
 二一人に対して呼吸数を調べた結果、鍛錬前は平均一六・五回/分だったのが、六・九回/分に減少し、そのうち五回/分以下となった人が九例あった。

重慶医学院生理教研室
 二六例で呼吸数を調べた結果、鍛錬前の平均一四・四回/分が、鍛錬中は四・七/分に減っていることがわかった。
 平静時の呼吸数は、成人で平均一六~一八回/分である。鍛錬のときに明らかに呼吸数が減少するのは、呼吸中枢の機能がかなり低下することを表しており、これによって大脳皮質も抑制状態におかれることが予測できる。

(2)呼吸量(肺機能検査)
重慶医学院生理教研室
 八例の高血圧患者に松静功を行わせ、分時呼吸量の測定を行ったところ、練功前には平均六三三七ml/分だったが、鍛錬中は四九〇〇ml/分に減少した。
 また二六例の肺結核患者に内養功をさせたところ、鍛錬前は平均七六五七ml/分だったが、鍛錬中は四七四五ml/分に減少した。

上海市第一医学院生理教研グループ
 二一例の分時呼吸量の測定で、二六%の者に減少がみられ、なかでももっとも差の大きかった者では、一万四〇〇〇ml/
分が四五三五ml/分に減っている。一回換気量は、鍛錬の前後を比較すると、七八%の者に増加がみられた。

北京結核病研究所
 一〇例で一回換気量を測定したところ、鍛錬前は平均四八二mlだったが、一五分間の鍛錬後に七四〇mlになった。
 成人の平静時、一回の呼吸で肺に出入りする空気の量が、一回換気量である。したがって一回換気量(ml)×呼吸数(回/分)=(イコール)分時呼吸量は約八千~一万mlである。
 鍛錬中は一回換気量が増えるものの、呼吸数が減少するので、分時呼吸量には持続的な減少がみられる。それでいて窒息性の反応が現れないのは、鍛錬中は呼吸機能に関係する神経中枢が、一定の抑圧状態にあることを証明するものである。

2024年4月
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