気功の基礎研究⑯

(3)環状アデノシンー三、五-一リン酸(CAMP)
上海市高血圧研究所・鄺安堃の報告
 安静状態にあるとき、休息の前後で血漿CAMP水準はほとんど変化しないものである。波動幅値は平均三・〇四±一・八七㎍/mlで、変化は少ない。ところが鍛錬の前後に測定すると、血漿のCAMP含有量が大きく変化する。その波動輻射は八・四八±八・二九六㎍/mlであり、統計学的にみると両者には明らかな違いがあるといってよい。
 これとは別のグループで、起立前後の値を試験したところ、この場合は安静状態を保ったグループに比較していくぶん大きく、波動幅度は平均値五・九二㎍/mlだった。しかしやはり鍛錬を行ったグループの値には及ばず、これらの差異は平均一三・二㎍/mlで、両者の差は明らかである。
 以上のことは、練功がCAMPに影響し、CAMPに対し一定の調節作用をもっていることを示すものであり、CAMPの作用を通じて多くの臓器の機能に広範な影響を与えることが可能であることを示している。

(4)胆汁
王伽林の報告
 壱九七九年五月に開腹手術を受けた患者の胆嚢に、ドレーンを装備し、胆汁が排出される状態にして、四か月間気功を行わせ観察をした。一〇回にわたる測定資料から得られた結果は次のとおりである。
 気功鍛錬以前の休息時の分泌量…平均二一ml/時、一四・三ml/時
 鍛錬中…平均五四・三ml/時
 鍛錬後の休息時…平均二一・四ml/時、一七・八ml/時
 気功を行っている際の胆汁の分泌量は、休息時に比べ、平均二・六~三・八倍に増えることが確認された。
 胆汁は肝細胞から分泌される消化液であり、胆嚢内に貯められて濃縮され、小腸に排出される。鍛錬中に胆汁の分泌が促進するのは、迷走神経の働きが活発化し、分泌を促すためである。また迷走神経の興奮はガストリンの分泌を盛んにさせるが、これも肝細胞からの胆汁分泌を促進させる要因となっている。胆汁分泌の増加は、消費能力が高まることに通じる。

2024年4月
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