気功の方法…気の練養⑤

(5)姿勢の鍛錬と点検
 姿勢は練功法の構成部分でもあるので、練功者は自分に適する姿勢を真面目に練習し、自分の姿勢が正しいかどうか常に点検しなければならない。練功の姿勢の特徴は、安定した状態を一定時間保ち続けることである。これは平素の生活における歩く、止まる、坐る、臥るなどのように刻々と変化する動きとは異なるので、主観的な努力が必要となる。練功の姿勢をマスターするのは、特にその中で平坐と立式では、苦しい過程があり、心構えが要る。しかし、また、無理に行ったり、あるいは正しい姿勢にはなかなか到達できないと考えてはならない。無理に行ったりあるいは到達できないと考えると必ず緊張してしまい、ゆったり自然にという原則が失われてしまう。そのため疲労を感じたとき、たとえば初めて平坐で腰や背がだるく痛くなるとか、初めて立式を行ったときに両脚が震えたりしても、少し我慢して続けなければならない。さもなければ、いつまでもマスターすることができない。少し我慢して姿勢をマスターすれば、姿勢鍛錬のもつ意義が正しく体得でき、その後は条件反射になり、その姿勢をとればすぐリラックスできるようになる。当然、初心者で、リラックスするのに困難があり、特定の姿勢をとることにも慣れていないときには、練功全体の求めるものに合致すれば、適応しやすい姿勢を探してもよい。
 練功者が姿勢の鍛錬をうまくマスターするのに、指導者の点検および姿勢の矯正は大事なことである。姿勢の点検は望診の方法がとられる。つまり練功者の姿勢がのびやかで自然かどうか、求めるものと合致しているかでうか、また、用いられている用具が適切かどうか観察するのである。
 姿勢の点検は、頭部より始め、胸部、腹部、背部、四肢の順である。
❶頭部…俯きすぎではないか、後ろに反り過ぎていないか。坐式では頭頂部の百会穴を中心とし、左右、上下に片寄ることなく、ちょうど何かからぶらさがれたようにする。これを「懸頂」という。頭を反り過ぎると呼吸しづらく、首がだるくなる。俯き過ぎるとぼんやりしたり、居眠りしやすくなる。
❷肩部…肩をいからせていないか。肩は落としているのがよく、いからせるのはよくない。いからすと体が緊張し、リラックスしにくい。
❸胸部…胸は反っていないか。胸が反ると呼吸がのびのびせず、無理に行うと両脇がだるく痛む。それゆえ胸を内側に丸める。これを「含胸」という。
❹坐位における腰背部…背中が丸くなっていないか。腰を曲げると腰背部がだるくなったり、重い荷物を背負ったような疲労を感じる。それゆえ、腰背はまっすぐにする。これを「抜背」という。
❺両手…大腿に置くが膝に近過ぎると上肢が緊張しやすくなる。両足はゆったりと地に着いているかどうか。近過ぎると上肢が緊張しやすくなる。両足はゆったりと地に着いているかどうか。正しくなければしびれやすくなる。
❻上半身…傾いていないか。
❼仰臥位…快く自然であるか。
❽顔面部…こわばっていないか。微笑を浮かべるとリラックスしやすい。
 以上述べたような正しくない状況が現れたときには、練功を始めたばかりならば、すぐに練功者に指示して改めさせるか、軽く手を添えて改めさせるか、練功者に告げてから、練功者の身体を軽く揺すり、肩背をゆっくり動かし、胸背腰腹をわずかに調整し、姿勢を正させてから練功を続けさせる。練功者がすでに安静状態にあるならば、練功後に指摘して注意をうながす。
 練功の用具は、練功している姿勢に合うかどうか観察すべきである。たとえば坐式であれば椅子の高さが適当であるかどうかである。臥式は板のベッドか棕櫚網のベッドがよい。あぐら式は臀部に毛布をあてる。練功用の腰掛けがなければ、ベッドで練功してもよい。