気功の方法…呼吸の鍛錬③

(3)常用呼吸法と鍛錬と運用
 現代に用いられている各種の呼吸法は、すべて古代の方法から発展してきたものであり、臨床で何が必要かによって、それに相応する呼吸法を選ぶ。常陽される方法には、次のものがある。
①自然呼吸
 一般的な呼吸であるが、平常のときよりやや穏やかでなければならない。これは呼吸鍛錬における基本的な呼吸法であり、呼吸鍛錬においては必ず行わなければならないものである。初心者に対してこの点を強調することが大事である。
 男女の生理的な違い、習慣の違いにより行われる自然呼吸も異なる。たとえば、生理的には、男性は腹式呼吸が出現しやすく、女性は胸式呼吸が多い。スポーツマン、武術家、俳優、歌手は腹式呼吸であるが、多くは胸腹式混合型の呼吸である。

②腹式呼吸
 自然呼吸が鍛錬されるうちに、しだいに形成されていく。内蔵の活動を活発にする。
 腹式呼吸を練習するときには、呼気のときに腹筋を意識的にわずかに収縮させるとよい。それによって腹部が収縮する。吸気のときは、腹筋を緩めると腹部が自然に盛り上がる。古人は、「腹部がゆったりすると清らかな気が盛んになる」といっているが、これこそ良く会得したことを表している。
 一般的にいえば、臍部を意守するときに、腹式呼吸が現れやすい。よく見られる腹式呼吸には以下のものがある。
順呼吸…一般的な腹式呼吸であり、吸気のときに腹部が盛り上がり、呼気のときは腹部が収縮する。
逆呼吸…吸気のときは、腹筋を次第に収縮させて腹部をひっこめ、呼気のときには、腹筋を自然にリラックスさせて腹部を次第に盛り上がらせる。一般医は、逆呼吸は、胃腸の活動をより強めることが認められる。
潜呼吸…呼吸に従って下腹部がかすかに起伏する。呼吸が高度に柔和になって初めてこの呼吸が現れる。
臍呼吸…この呼吸は潜呼吸よりさらに柔和な腹式呼吸であり、腹部はほとんど動かず、臍部で呼吸しているかのように思えるのでこの名を得た。古人は臍呼吸を「胎息」といった。

③提肛呼吸(肛門を引き上げる)
 吸気のときに、やや意識的に会陰部を引き上げ、呼気のときは会陰部をゆるめる。気虚下陥による内蔵下垂、子宮脱などに用いる。

④鼻呼吸法
 静功の呼吸では、一般的には鼻呼吸法が求められる。鼻疾患の一部あるいはその他の疾患でこの呼吸法を用いて障害があるときは、鼻の代わりに口で呼吸する。胸苦しさやスムーズに呼吸できない場合には、口呼鼻吸法が比較的適する。六字訣も口呼鼻吸法を用いる。

2024年10月
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