気功の方法…呼吸の鍛錬⑥

(5)呼吸鍛錬の観察
 練功者の呼吸鍛錬の観察では、一般的にその呼吸の深さ、息を殺していないかどうか、その呼吸の音が軽やかでむらがないかを調べる。腹式呼吸では手を練功者の腹部に軽くあてて、その腹式呼吸が穏やかでリズムが揃っているかどうか、逆呼吸かそれとも順呼吸か、呼吸の間に止まっている時間があるかどうかを調べる。もし練功者が、無理やり腹式呼吸しているか、あるいは無理に大きな起伏を求めているならば、腹筋は硬く起伏もわざとらしく、長く続けることができない(腹式呼吸を検査する前にそのことを告げておくのがもっとも望ましい)。
 以前、上海市気功療養所では、電動式の呼吸描記器を用いて呼吸曲線を描き、練功時の呼吸状態を記録し、同時に観察を行った。描記は普通は実験室で行い、練功者に臥式練功を行わせた。腹部に一本のゴム管を軽く取り付け、呼吸状態をゴム管を通じて描記計に導き、描記計の針がキモグラフの紙上に連続して記録するようにして、練習一か月以上の患者に対し実験を行い、のべ二七八人の描記データを分析し、次のような結果が認められた。
①練功者の精神状態が安定し、よくリラックスし、自然に腹式呼吸が行われたものの呼吸曲線は均一で柔軟である。
②練功者の精神状態が安定せず、必要以上に意識的な場合の呼吸曲線は不揃いで不自然である。練功中、雑念が多いか、頭がぼんやりしている者の呼吸曲線は、乱れている。吐いて止めて吸うと、吸って止めて吐くという二つの曲線は明らかに違いがあるが、病人は練功によって、この二つの呼吸形態が自然に転換できるようになる。神経衰弱を伴う者は、練功時の呼吸曲線はあまり安定していないが、病気が良くなるにつれて、呼吸曲線はかなり規則的になる。むらがなく、自然で、柔軟な呼吸を腹式で、長く続けられるものは、一般的に良い治療効果を収めることができる。

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