東洋医学.11

五臓の働き<肺>

①呼吸と水の巡りをつかさどる“肺”
 肺は呼吸をつかさどる臓器で、大気の清気を吸い込み。体内を巡って汚れた濁気を排出する機能を持ちます。
 また肺のもつ宣発、粛降機能は、呼吸、気の血の運行、津液の代謝、衛気の拡散をつかさどります。宣発とは上方向や外方向へ拡散、全身に散布する作用で、体内の濁気を排出、津液や栄養分、衛気を上方へ拡散します。粛降は下方向へ降ろす作用で、清気を吸収し、肺と気道を整え、津液や栄養分を下方の臓器に輸送します。
 また、肺は津液の巡りもつかさどります。宣発作用により、津液は皮膚に散布され、汗孔から汗として排泄されます。脾から肺に運ばれた津液は、宣発作用により各臓器を潤した後、腎や膀胱に降ろされ、尿として排泄されます。
 肺と強い関係にあるのは、涕(鼻水)、皮膚、体毛とされます。
②皮膚にも影響を与える“肺”の変調
 肺の変調により、宣発機能が低下すると、まず身体の防御機能と発汗に影響します。身体の内部で生成された衛気は、宣発作用により体表に散布されるが、その機能が低下すると衛気が体表を覆うことができず、外邪に対し無防備となります。肺は呼吸をになうため、寒さや乾燥など外気に敏感な臓器であり、防衛機能が働かない状態になると、すぐに風邪をひくようになります。また、衛気は汗孔の開閉コントロールもにない、衛気が広がらないと、汗孔が開かず、汗が出なくなります。
 粛降機能の低下がおきると、吸収の異常をもたらします。清気を吸い込み、体内へ気を降ろすという本来の働きができないと、新しい気も吸入できなくなるため、喘息や咳などの症状があらわれます。また宣発と粛降はお互いに関連しており、片方の異常はもう片方の不調も引き起こします。
 肺は宣発と粛降の作用で、津液の巡りをつかさどります。宣発機能が低下すると、身体の上方にある水分が停滞し、痰が出て、汗が止まるなどの症状が現れます。また粛降機能が低下すると、顔のむくみや尿量の低下が生じます。
 肺の異常は鼻に現れるとされ、鼻水、鼻づまり、嗅覚異常といった症状が現れます。

2024年7月
« 6月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031