東洋医学.15

経絡の働き

①気や血が通る通路
 経絡は体中に張り巡らされ、気や血がその中を巡っています。ただし実際に人体を解剖しても経絡を見る事はできません。その働きは、西洋医学でいう、血管、リンパ系、神経系などさまざまな役割をになっています。
 経絡には身体の縦方向を流れる太い経脈と、経脈から分かれた細かい枝である絡脈があります。経脈には正経十二経脈や、奇経八脈などがあり、とくに経穴(ツボ)を持つ正経十二経脈や、奇経八脈のうち督脈・任脈は鍼灸の治療によく使われます。ツボを刺激することで、その経脈に関連する臓腑を治療したり、調子を整えたりすることが可能となるからです。逆に、すべての臓腑や組織、器官は、気や血が巡ることで正常に機能するため、その通路となる経絡が詰まって気や血の流れが滞ると、臓腑や器官が不調をきたします。
<正経十二経脈> 
手の太陰肺経 肺の調整 (「気」は肺を通り、手の先へ)
手の陽明大腸経 肺経とともに、大腸の調整 (肩から口に上り、大腸に属す)
足の陽明胃経 胃を調整消化吸収をになう (胃を通ってくだり、足の先まで) 
足の太陰脾経 胃経とともに消化吸収を調整 (胸までのぼり、脾に属す)
手の小陰心経 精神と心の調整 (心の周囲から、手の先へ)
手の太陽小腸経 心経とともに小腸の調整 (肩までのぼり、小腸に属す)
足の太陽膀胱経 膀胱とともに生殖老化に関与 (頭から膀胱を通り、足の先へ)
足の小陰腎経 腎を調整、生殖老化に関与 (足の裏からのぼり、腎に属す)  
手の厥陰心包経 心の調整 (心包から出て、手の先へ)
手の小陽三焦経 内臓活動に必要な原気や水液を運ぶ(耳まで上り、三焦に属す)
足の小陽胆経 肝経ともに、胆の調整 (胆を通って、足の裏へ) 
足の厥陰肝経 肝の調整、血液の統制 (肝を通り、全身を一周した「気」)
<奇経八脈>
督脈 脳の調整を行う
任脈 生殖器の調整を行う
②経絡のトラブルはツボにあらわれる
 経絡のなかで正経十二経脈と奇形八脈の督脈・任脈にはツボ(経穴)はあり、経脈に関連する臓腑や器官などと体表を結んでいます。「穴」といっても体表に穴があいているわけではないが、ツボのほとんどは筋肉と筋肉の境の陥凹部になっています。
 ツボを刺激すると、その刺激が経絡の流れを整えたり、経絡を伝わって臓腑や器官に影響を与えたりします。一方、臓腑や器官の機能に異常が生じると、ツボに現れます。ツボがある皮膚がざらざらしたり、発疹が発生したり、強い痛みがある場合などは、異常の兆候です。そのため、異常が生じたツボを刺激すると経絡に停滞していた気と血が動き、関連する臓腑の調子を整えます。

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