東洋医学.16

血の概念

①身体の栄養源となる“血”
 血は全身の各器官に栄養を与え、滋養させる働きを持ちます。解剖生理学でいう血液と似ているが、赤血球や血小板といった区別はなく、生成や作用も違い、血と血液は同じではありません。
 血の生成と作用に関しては、気の関わりが深く、気は血に対して優位な三つの作用をもち、「気は血の師」とも言われます。気の気化作用によって、気の原動力であり、血の材料ともなる水穀の精微が生成されます。また、気の推動作用によって血が巡り、固摂作用が体外へ漏れるのを防いでいます。心は血を全身に巡らすポンプの役割をもち、気のサポートを受け、各器官や組織に栄養を送ります。臓腑は、その栄養に支えられ、スムーズに働くことができます。また、筋肉や骨格を成長させ、肌や髪に栄養と潤いを与える滋養作用も、血の働きです。
 さらに肝の蔵血機能により、血の流通量が調節され、必要な部位に適度な血量が行き渡るようになっています。
 また、血は気とともに精神活動も支えています。血が十分あり、循環していることで意識が明瞭になり、精神が安定し、反対に、悩みやストレスなどを抱え込むと、血が余分に消費され、血の不足や機能低下などを生じます。
②血のもつ推動、蔵血作用
 血の働きを指して「心は血をつかさどり、肝は血を蔵す」といいます。心には、心にある血(心血)を循環させる、ポンプの役目(推動機能)があります。身体のすみずみまで血が行き渡り、組織に栄養を運べるのは、この機能があるおかげです。
 肝には蔵血機能があります。機能は二つに別れており、血を肝に貯蔵する働きと、身体の必要な部位に適当な血量を配分する働きです。この蔵血機能が働かないと、血を体内にためておけず、吐血や鼻血などを生じる。また、血を必要を必要とする部位に栄養が渡らず、栄養不足の状態になります。血の不調は、目や爪、筋肉に症状がみられやすく、たとえば、爪の変形、筋肉に赤みがなくなり、視力低下や疲れ目、筋肉の衰えなどのほか、ふるえや痺れといった症状が表れます。
③血の不足で生じるトラブル
 血は飲食物から作られる水穀の精微を材料に生成されるため、食事から十分に栄養が摂れなかったり、栄養を消化吸収する脾や胃に問題があると、トラブルが発生します。また、女性は月経などで血が不足しがちなので、血に関する不調に陥りやすいです。血の変調を起こすことを血病というが、血虚、血熱、血瘀、血寒の四種類があります。
 血虚は地の不足、および血の機能の衰えを意味する。血によって全身に運ばれる栄養が不足すると、顔色に赤みがなくなり、舌や唇の赤みも薄くなります。関連臓器は心であるが、心血が不足すると、不眠や健忘など精神活動にも影響をもたらします。
 血熱は、血の中に熱が鬱積している状態を指し、熱邪や血の巡りの停滞などが原因となっており、発熱や便秘などが生じ、さらに進むと鼻血や皮下出血など出血しやすい状態になります。
 血瘀は血が停滞したり、巡りが悪くなる状態で、停滞した血栓のような病理産物である瘀血ができます。刺痛と呼ばれる刺すような痛みや月経痛、神経痛などが生じます。