西洋医学の歴史│近代.4

近代ヨーロッパの医学.4
 十九世紀後半から二十世紀にかけて医学は華々しい時期を迎えます。パスツールやゴッホの細菌学、ワクチンによる免疫療法、血清療法によるいろいろな病気の治療法の発見があります。まずワクチンによる狂犬病の予防に成功し、次いで破傷風およびジフテリアの血清療法がベーリングと北里柴三郎によって完成されます。
 二十世紀になって、梅毒の治療法が見つけれれる。1910年にエールリッヒと秦佐八郎によって初めて征服されます。サルバルサン606号という砒素を含む薬品が特効薬として作られたのです。化学療法の夜明けです。そしてサルファ剤が1935年につくられます。次いで抗生物質、いまでも使われているペニシリンが1940年代から実用化されます。それからストレプトマイシンの発見を初めとする戦後最大の進歩である抗結核剤が完成されます。
 結核の次は臨床的に問題になりますのは、高血圧や精神障害です。
癌の頻度は、高くない。また癌は老化の問題と深く関係しています。一種にお老人性の疾患といっても過言でないでしょう。
 新しい化学療法剤、抗生物質が出ていますが、本質的には何も画期的な成果をあげていません。癌の末期の人によくかかる緑膿菌や真菌などをやっつける薬が見つかった程度でしょう。
 医学の歴史を振り返って、治療上の大きな業績は、細菌感染やビタミン等の欠乏による病気に関するものが主でした。
 ウイルスは肝炎や風邪症候群、ハシカなどの原因ですが、細菌に対する抗生物質のように効果的にウイルスをやっつける薬は、いまのところありません。
 最近は、高血圧、精神障害といったストレスに関係した病気が増加しています。
 ローマ時代に、固体成分の張りや弛みに重きをおく固体病理説が起こります。また一方には、宇宙にみなぎるプネウマ(精気)が呼吸によって体内に入り、あらゆる生命現象を支配すると主張する精気派がありましたが、有名なガレノスは体液病理説をとっています。
 十七世紀になりますと、天文学・物理学上の大きな発見が次々とあり、それとともに人体の生理も病気もすべて物理学で説明できるという考えが起こってきました。繊維の緊張と弛み、体液の濃さと薄さが重要な課題となり、物理医学派と呼ばれます。それに対し、あらゆる生命現象を化学で理解しようとする人たちがあり、科学医学派と呼ばれます。それから体系学派が起こります。これは物理医学派、化学医学派のいうところを合わせて、その上ライプニッツの唯心論をのせて、生命や医学の解釈を体系的に考える流派です。科学よりも哲学に忠実な傾向があり、思索と議論が多くて、独断的でした。

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