止観法│概説

仏教各宗派の哲学思想、教典はそれぞれに異なっていて特徴があるが、座禅修道を行わなければならないことは、しずれの宗派にも共通している。簡単な参禅のほかに、ほとんどの場合禅定を行わなければならない。

第1節止観法概説
天台宗は、隋・唐時代の仏教のなかにあって重要な地位を占めていた宗派で、『妙法蓮華経』を教義としていたので、法華宗とも呼ばれる。『妙法蓮華経』を省略して『法華経』と呼ぶので、法華宗と称するのである。また、広く天台宗とも呼ばれるのは、その開祖である智顗が浙江省の天台山に居住していたところからきている。
天台宗の実質上の開祖である智顗(538~597)は、本姓は、陳、潁川(現在の河南省許昌県)の人で、18才で出家して僧侶となり、天台山で20余年にわたって『法華経』を講じた。帝位に就く前の煬広すなわち後の隋の煬帝は智顗を尊称して「智者」と呼んだので、智者大師といわれた。
天台宗は止観を提唱する。止とは妄念を一掃して取り除き、一境に専心することをいうので、定慧、寂照、明静とも称する。観は、止の基礎の上に智慧を働かせ万法を観照する事を言う。智顗自身は、止観を天台宗派の最高修養原則であると認めて、止観法門を特に重要視していたので、自ら幾つかの師観法を伝えている。その中で智顗本人の著書に『修習止観座禅法要』『六妙法門』があり、門徒が記録整理したものに『魔訶止観』がある。ここでは主に智顗自身の著書に基づき鍛錬法を紹介する。
①五縁を具えよ…持戒清浄であれ。衣食を具足せよ。静所に深居せよ。諸の縁務を息めよ。善知識に近づけ。
②五欲をかせ…色欲をかせ。声欲をかせ。香欲をかせ。味欲をかせ。触欲をかせ。
③五蓋を棄てよ…貧欲の蓋を棄てよ。瞋恚の蓋を棄てよ。睡眠の蓋を棄てよ。悔の蓋を棄てよ。疑の蓋を棄てよ。
④五和を整えよ…食を整えよ。睡眠を整えよ。身を整えよ。息を整えよ。心を整えよ。
⑤五法を行ぜよ…欲、精進、念、巧慧(ぎょうえ)、一心、分明。
以上の止観は「二十五方便」と呼ばれる。これらには、準備段階及び進行時での鍛錬方法、また日常での注意事項が含まれている。