西野皓三│医大生からバレエ①

医大生からバレエ研究生に①
ディアギレフは、20世紀の初頭、“ヨーロッパ舞台芸術のルネサンス”をもたらしたと言われる、ロシアの天才的インプリサリオ(プロヂューサー・監督・興行主)です。
ディアギレフの業績は、バレエ界においてニジンスキーやアンナ・パブロワといった世紀のバレエダンサーを育てただけではありません。次世代を背負うことになるフォーキン、マシン、バランシンという優れた振付師を養成したことでも知られています。
バランシンは後にアメリカに渡り、ニューヨーク・シティ・バレエは、アメリカを代表する文化の一つだと言えます。
そのバレエ団でバランシンの影響を受け、後継者となったジェローム・ロビンスは、かの『ウェストサイドストーリー』をはじめとする、数々のミュージカルを創りました。『ウェストサイドストーリー』は、ディアギレフ芸術の流れを汲む現代アートの最高傑作の一つだと言えましょう。
当時、ディアギレフ・バレエ団のソリストだったニネット・ド・ヴァロアはイギリスに渡り、サドラーズ・ウェルズバレエ団を創立しました。そのサドラーズ・ウェルズバレエ団は、やがて世界に誇る英国国立バレエ団となりました。
セルジュ・リファールも、ディアギレフの芸術スピリットを受け継いだ一人です。リファールは、パリ・オペラ座のバレエマスターとなり、大いに活躍し、オペラ座を去ったのちは、自ら舞踊大学を創設して学長となる一方で、種々の賞を設けて後進の育成に力を尽くすなど、世界のバレエ界に貢献しました。
バレエ芸術に限らず、ディアギレフは当代一流のさまざまな芸術を誘い、鼓舞することによって、バレエを中心とした総合芸術の大輪を花咲かせた人でもあります。
画家のピカソやマチス、ドラン、ローランサン、エルンストらもディアギレフに共鳴し、彼とともに芸術活動を展開しました。彼らは舞台の背景を描いたり、プログラムをデザインしました。ピカソは舞台装飾や衣装を担当し、公演のポスターも描いています。
音楽はストラビンスキーやラヴェル、プロコフィエフをはじめとし、ドビュッシーやエリック・サティ、プーランク、ミヨーを起用し、作曲をさせています。台本もコクトーやクローデルなど当時の一流作家が書いています。