西野皓三│「頭脳知」では①

「頭脳知」だけでは生きていけない①
阪神淡路大震災が起きた時、手足がすくんで身体が思うように動かず、揺れが収まるまでただガタガタ震えていたという体験談を聞きました。いざという時に自然に勝手に身を守る行動がとれないということは、生死の問題に直結してしまうのです。
大きな地震が起きたら、まずガスの元栓を閉め、電気のブレーカーを落とし、大きな机の下に入り身の安全を確保する…私たちは知識として、地震への対処法を知っていますが、その知識が「いざ」と言う時、役に立つかといえば疑問です。
ところが、身体が勝手に動いていれば、難なく危険を免れることができるのです。
生物にとって、自分の力で身を守るということは、最も基本的な知恵の一つですが、脳に頼りすぎてしまうと、そんな基本的な知恵すら働かすことができなくなってしまうのです。
「勝手に動く」ことが出来ない人の身体は、その分だけ生命力と身体全体の働きの調和が悪くなってしまいます。免疫能力も低くなり、病気にもなりやすくなる。あるいは病原菌に対しても抵抗力が弱くなることも予想されます。
身を守ること以外でも、「勝手に動く」ことができる身体能力は、たとえば勘(第六感)という形で、さまざまな人生の局面で真価を発揮します。勘とは、身体的な判断能力 なのです。
勝手に動く身体の能力は、人間を人間たらしめている脳とも密接に関連して、人間の最高の能力である知性を最大限に発揮する基盤にもなっているのです。
脳の働き自体、「勝手に動く」細胞の働きによって生まれたのです。