なぜ“足芯呼吸”が大切なのか②
人間は異変が起きた時、まず呼吸が乱れて思うように身動きが取れなくなるものです。思わぬ災難に遭ったり、危機に瀕した時に鼻呼吸をやれといっても、できるものではありません。
ところが、足芯呼吸を行っていると、知らず知らずのうちに細胞レベルで最善の呼吸の仕方が身についていて、いざという時、また、「ここぞ」という大事な勝負どころで安定した平常心と大きなパワーを発揮することができるのです。
足芯呼吸はいつ、いかなる時にでも、自在な応用が利きます。
古来、精神修養と呼吸法とは切り離せないものとして語られてきましたが、これは呼吸そのものが、いわゆる「邪念」を追放する効果を持っているからです。
鼻呼吸によって正しい呼吸を行うことで、腸管内臓系や嗅脳(大脳辺縁系)が刺激を受け、情動が活き活きと発信されるために、脳の活動が正常化するのです。
私の主宰している西野塾(西野流呼吸法道場)には、実にさまざまな人が入門しているのですが、その中に経済産業省の大臣官房審議官、特許庁長官、三菱電機副会長を経て、現在、石油資源開発社長を務めておられる若杉和夫さんという方がいます。
若杉さんは、西野流呼吸法を始めた結果、長年患っていた慢性肝炎を自己治癒された人ですが、事あるごとにこう語っておられます。
「西野流の足芯呼吸は、怒り、怖れ、妬みといった感情とは両立しませんね」人生経験を深く積み、実業の場で活躍されている人ならではの観察だと感心しました。